言葺庵

寝惚けた獅子に気付けの一服

「効果」「効率」の違いと「成果」に繋がるアプローチを、バリューエンジニアリングから読み解く

眠れぬ仔羊へ

成果主義が叫ばれて久しいですが、成果とは一体なんなのでしょう? 

この記事では成果とは何かを簡潔に解説し、それを上げる方法を解説します。

目録

成果・効果・効率の関係式

成果・効果・効率の関係性は以下の式で表されます。

f:id:moto_yasu:20211103074759p:plain

この式から成果を大きくするには効果を大きくするか、効率を小さくするかが基本戦略となります。

もしかしたら「コスパ(費用対効果)」と混同されるかもしれませんが、
コスパとは「効率を重視して得られた成果」とここでは定義します。

バリューエンジニアリング

私の愛読書の一つに「7つの習慣」があります。
この中で何度も「効果」と「効率」が出てくるので
その違いを調べてみたら上記の方程式に辿り着いた次第です。

これだけでは何が何だか訳がわかりませんでした。
そんな私が最近出逢ったのが
「VE(バリューエンジニアリング:Value Engineering)」です。
バリューエンジニアリングとは……

消費者の立場で商品やサービスの「価値」を、機能とコストの関係から分析、把握する考え方1

であり以下の方程式で表されます。

f:id:moto_yasu:20211103074738p:plain

この式、先程の成果の方程式にそっくりですよね!
この式を見ると「価値(成果)」を大きくするには、

「機能(効果)」を大きくするか、

「費用(効率)」を小さくするか

のいずれかが基本戦略だとご理解頂けると思います。

成果を上げる為のアプローチと留意点

ここまでで成果や価値といった「結果」を大きくする為には
「分子(効果・機能)」を大きくするか
「分母(効率・費用)」を小さくするか
のいずれかが基本になるとお解り頂けたと思います。

以上を踏まえて「結果」を大きくする為に、
組織の構成員が取り組むべき姿勢をこの方程式から導いてみます。

何も難しく考える必要はありません。分数は分子が上で分母が下ですよね。
それをそのまま地位の上下に当てはめれば良いのです。

つまり、分子(効果・機能)はトップダウン2を優先し、分母(効率・費用)はボトムアップ3を優先すべきです。
経営陣や企画部は結果(成果・価値)の分子(効果・機能)を最大化する事に注力し、従業員は分母(効率・費用)を最小化する事に注力すべきです。

成果主義が掲げられるようになってリストラによるコストカットが大々的に行われるようになりましたが、それは経営陣が本来取り組むべき業務ではないでしょう。
従業員の立場から言わせてもらうと、上がコストカットをスローガンに掲げてきたら、組織から退く事も選択肢に入れなければならないと思います。

かと言って経営陣が分母(効率・費用)に口出しを全くするなというのも違うと思います。
業務を効率化し費用を最小化するのはあくまでも従業員が主で経営陣は副です。
経営状況によってはやむを得ずリストラやコストカットせざるを得ない状況にぶつかる事もあるでしょう。

懲戒解雇ならいざ知らず、リストラするのは組織として恥ずべき事ですし、秘すべき事だと私は思います。
いずれにしろ「我社は利益を上げる為に大規模な人員削減します!」と
世間や株主に向けて大々的に発表するようなものではない事は確かです。
上に立つ者にとってコストカットが恥ずべき事だと自覚したなら、
コストカットを主とする下の者に対して、謙遜した態度で接せられるのではないでしょうか。

これは逆の場合も言えます。下の者が業務に求めるべきは分母(効率・費用)の最小化ですが、
分子(効果・機能)の事も気になっていくものです。
そういった場合、下から上へと進言する事もありますが、
我が国では儒教文化の影響で下から上へ伺いを立てる態度はそれなりにできています。
我が国では敬語が下意上達の道具に形骸化している傾向からも、
上に立つ者は特に気をつけねばならないでしょう。

成果を大きくするには、効果を大きくするか、効率を小さくする、あるいは両方しましょう。
効果はトップダウンで上から考え、効率はボトムアップで下から考えると良いでしょう。

まとめ

  • 成果=効果/効率であり、バリューエンジニアリング(価値=機能/費用)に酷似している。
  • 結果(成果・価値)を大きくするには以下のアプローチが有効。
    • 分子(効果・機能)に注力しトップダウンで、経営陣は金と時間を惜しまない。
    • 分母(効率・費用)に注力しボトムアップで、従業員は金と時間を惜しむべし。
  • 経営陣・従業員共に相手の領域に言及する時は慎重になるべし。

このようして結果を出し仕事をより良く改善していきましょう!

私達の幸福や成熟の礎になる事を願って 枕本より


  1. 2021年度版 みんなが欲しかった! ITパスポートの教科書&問題集」80頁より

  2. 組織の経営陣(トップ)が号令を出して現場がそれに従うという経営戦略。

  3. 現場(ボトム)の意見を拾い上げて経営判断に活かす経営戦略。