言葺庵

寝惚けた獅子に気付けの一服

アイデアマンは本能で知ってる!? 手書きがもたらす効能とは?

眠れる獅子へ

パソコンやスマートフォンの普及により
私達が手書きで文字を書く機会がどんどん減ってきている。

デジタルデバイスにどっぷり浸かっていると
「アナログな手書きなんて止めて全部デジタルにすればいいのに」
と思ってしまう事すらある。
そんな今だからこそ、手書きの効能を再認識する必要があるだろう。

この記事では、手書きの利点を述べ、タイピングよりも優れた部分を記す。
そうする事で昨今軽んじられがちな手書きを再評価する。
デジタルとアナログを調和させれば、私達はより良い人生を歩める事だろう。

目録

手書きする事で私達は真の実力を発揮しやすくなる

脳や心を活性化し、本来の実力以上の力を出すきっかけとなる。それが手書きの利点である。

なぜ手書きする事で真の実力を発揮しやすくなるのか?

脳や心といった自分の内側にあるモヤモヤ
──言葉にしようとしても言葉にならない「思考」や「感情」──
を書き出し、外側に出す。

すると、それまで自分の内側にあったモヤモヤに浪費していた
脳や心のエネルギーを他の事に費やせるようになるのだ。
もちろん、それには外側に出したモヤモヤの解消も含まれる。

自分の内側にあるモヤモヤを”引っ掛かり”として外側に出していくにつれて、
それまで言葉にできなかった自分の「思考」や「感情」が少しずつ深く広くなっていく……。
そうして深みや広がりを得て生まれ変わった「思考」や「感情」こそ、手書きの本当の成果である。

タイピングよりも不便なのにあえて手書きを推奨する理由

「自分の内側にあるモヤモヤを外側に出す事で、
脳や心のエネルギーを浪費せずに活用できる事はわかった。
けどそれって別に手書きじゃなくてデジタルでも良いよね?」
とここまで読んでくれた貴方は思っているかもしれない。

確かにその通りだ。
だが、あえてデジタルでタイピングするよりも
手書きした方がいい理由があるのだ。
それは以下の三点である。

  • タイピングとは別の部位を刺激できる
  • 軽率に図を描いて落書きできる
  • 失敗に対する恐怖が減る

一つずつ見ていこう。

タイピングとは別の部位を刺激できる

デジタルだと変換機能があるので、少し複雑な言葉
──漢字や英単語──の綴りを
覚えていなくてもタイピングできてしまう。
それに対して手書きだと腕を動かし、綴りを思い出そうと
脳も働かせるのでタイピングとは別の部位を刺激する事ができるのだ。

脳機能は種々様々使った方が老化を防げるので、
デジタルが便利だからといって、文章作成すべてを委任しない方がいいだろう。

軽率に図を描いて落書きできる

内側に抱いているモヤモヤを、言葉にしようとしても
中々言葉では捉えきれない場合、図を描いて落書きしてみるといい。

デジタルだと大抵、アナログよりも他者に提出する機会が多い。
図を描写しようとすると表計算ソフトなどで、精緻に仕上げなければならない
という強迫観念に駆られかねない。
手書きだとそういったしがらみがないので、図を描くのに遠慮がいらない。

さらにデジタルのソフトウェアに習熟していなくても、
図を描いたり落書きできるというのも大きなメリットだ。
フィラデルフィアのドレクセル大学が発表した論文1によると、
落書きは脳に良い影響を与えるとの事だ。

失敗に対する恐怖が減る

手書きでどんなに頑張って丁寧に文字を書いても、
デジタルのようにキレイな文字は書けない。
書けたとしてもデジタルの出力速度には敵わない。

逆に考えると、デジタルのようにキレイに文字を書く事を諦める事で、
失敗に対する恐怖感が軽減していくのを、
手書き習慣をつけ始めた私は感じている。

手書きを習慣にしてとにかく手を動かし続ける内に、
キレイな文字を書けなくてもいいやと思えるようになってくる。
すると少しずつ失敗への恐怖が和らいでくる。

失敗を恐れるあまり、自分の内側にある
モヤモヤに苛まれ、挑戦できなくなってしまう。
それこそが最も恐るべき失敗であり、手書きはそれを予防する。
言うなれば、手書きの習慣は完璧主義に対するワクチンである。

アナログからデジタルへ

さらに精神科医にして作家の樺沢紫苑は『アウトプット大全』の中で
アナログ(手書き)とデジタル(パソコン)の特徴を以下のように区分し、
手書きでアイデア出しをしてから、パソコンで清書する事を推奨している。

アナログ デジタル
抽象的 具体的
感覚的
直感的
論理的
鳥の目
俯瞰的
虫の目
微視的
漠然
ざっくり
精緻
詳細
紙・ペン パソコン

樺沢紫苑『アウトプット大全』より引用
文意を汲んで画像を一部改変

手書きの効能を体感する為に試してほしい手法

確かに手書きはタイピングに比べて時間がかかる事は否めない。
しかしそれは、思考や感情と長く向き合わざるを得ない分、
自分の脳や心が鍛えられている
と言っても良いのではないだろうか。

自分の体験で恐縮だが、アイデアが欲しい時、
パソコンに向ってうんうん唸って
モニターとにらめっこしているよりも、
手書きでとにかくペンを走らせた方が、
何だかアイデアが踊りだしやすい。

貴方にも是非この感動を共有してもらいたい! 
そこでオススメしたいのが
ジェイムズ・アダムスが提唱したバグリストだ。

バグリストのやり方

  1. 紙かノートを用意して、タイマーを10分間にセットする。
  2. 不愉快なこと、であった嫌なこと、(バグ)を、ジャンルや新旧にこだわらず、とにかく書き出す。
  3. タイマーが10分経ったと知らせたら、手を止める。
  4. 終わって気分がいくらかすっきりしたら、それを味わい、やる気をチャージし、やるべきことに取りかかる。
  5. さらに問題解決に取り組む気概まで生まれてきたというなら、今つくったバグリストか、これまでに書き溜めたバグリストを眺めて、1つか多くても2つ選び、その不愉快を改善/解決することを考えてみる。

読書猿『アイデア大全──創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール』より引用

手書きを取り入れる事でアイデアを爆発させよう。
その体験の積み重ねが私達の仕事を芸術に昇華していく事だろう。

私達の幸福や成熟の礎になる事を願って 枕本より